ワールドカップ日本代表の23人が発表された。記者会見にのぞんだ日本サッカー協会の3人は、相当な緊張の色を漂わせていた。
もちろん会見の焦点は、岡田武史監督が読み上げる23人のメンバーだった。しかし、今回のワールドカップを日本がどうとらえているかを示した言葉は、べつの登壇者から聞かれた。
原博実・技術委員長である。原は自分の話をこんな言葉から始めた。
「今回のワールドカップは、南アフリカで開催されるということで、なかなか現地で応援するのはむずかしいかもわかりませんが……」
原の発言は「それでも現地に来てくれるサポーターはスタジアムで、来られない人はテレビの前で日本代表を応援してほしい」と続いた。だから、彼の言いたかったことはわかる。
しかし「南アフリカで開催されるということで……」というポイントから始めたことは、原自身だけでなく、日本のサッカー界が今回のワールドカップをどうとらえているかを、みごとに表していた。
アフリカを「遠く」感じている、ということだ。
アフリカはたしかに遠い。成田からヨハネスブルクまでは、たいていのフライトで20時間ちょっとかかる。前回大会を開いたドイツの都市なら、13時間くらいで行けた。ヨーロッパとの比較ということでいえば、距離としてはもちろん遠い。
だが原の言葉が示すものは、物理的な距離ではないだろう。むしろ、日本のサッカー界が感じている「心理的」な距離である。
心理的に「遠い」場所で、しっかり戦うことはできない。原はこのとき、「アフリカは遠い。でも、もっとたくさんのサポーターに来てほしい。まだ間に合います」と言うべきだったかもしれない。
旅行会社関係者によれば、今度のワールドカップで現地に行く日本人は、前回ドイツ大会の4分の1程度の見込みだという。物理的な距離に加えて、治安が悪いという印象と報道が二の足を踏ませていることは想像がつく。
でも、アフリカは「遠い」のか。そう思うとすれば、それはなぜなのか。
僕自身、遠いなと思う。思いながら、ワールドカップが開幕する6月11日にヨハネスブルクに着く飛行機に乗ることにした。
「遠い」と思っていた自分がどう変わるのか。このブログで書いていきたい。